パリはテイクアウト(アンポルテ emporter)ができるおいしい惣菜屋さんやレストランがたくさんあり、外で食事する時間がなかなか取れない仕事モードのスケジュールでありながら、夜もバゲットサンドではちょっとナーという時などは大変助かります。
また、日中に街中を歩き疲れて夜はゆっくりとしたい時や「昼からワイン」の心地良さによる「ついつい食べ過ぎ飲み過ぎシンドローム」の際なども食事時間や量の調整が可能で、しかもなかなかのレベルの食事を楽しむことが出来るという利点もあります。
経験値的に申し上げれば、時間や立地に妥協してテキトーに入った店は大概高くて不味い店がほとんどであるという世界的な都市の掟は、ことここパリでも十分前提とすべき信憑性を有していると認めざるを得ないからであります。
というわけで、地元フランス系はもちろん、牡蠣や雲丹などの海の幸系、カンボジア系、イタリア系、ベトナム系、モロッコ系、アルジェリア系、中国系、レバノン系など、いつも街中の「アンポルテ」にはお世話になっております。
今回お世話になった「アンポルテ」の逸品のご紹介です。
まずは、7区はブルゴーニュ通りの「ロレ・プラディエ」 Rollet Pradier のフォアグラのマカロンです。ここはVol1でも触れた通り元「ラデュレ」のオーナーが先代から引き継いでやっている惣菜と菓子のお店。見るからに上品なディスプレイで2階にはサロン・ド・テも設けられております。
マカロンといえども、このフォアグラのマカロンはお菓子のコーナーではなく、お料理のコーナーに用意されいるもので、ゴールドの粉飾りを降りかけられたつや消しの真っ黒な姿が独特の存在感を示しておりました。
ほのかに甘くサクサクと崩れる外側のマカロン生地と内部のクリーミーで塩味のフォアグラの感触の対比が見事で、蜂蜜フレーバーのシャンパーニュなんぞに合わせるアミューズにもってこいの逸品でした。
次ぎなる逸品はがらっと趣向は変わって10区はリシュラン通りのレストラン「ル・カンボジュ」 Le Cambodge のバン・ホイのテイクアウト。ビーフン、揚げ春巻き、揚げた海老、炒めた牛肉などがまさに弁当風の器に入れられております。他に山盛りのサニーレタス、もやし、コリアンダー、ミントが入った袋とピーナッツ入りのニョクマムソースがついてきます。
夜も8時過ぎなのに並んでようやく買って帰ったこのお弁当、麺と豊富な具がニョクマムソースに絡められ渾然一体となった感じはどことなく本邦の冷やし中華を思い起こさせ、みずみずしい野菜(ミントの葉の大きいこと!)との取り合わせを含めて実に清涼感溢れる逸品でした。
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