フランス大使館旧庁舎を利用した現代アート展 “NO MAN’S LAND" 創造と破壊@フランス大使館 最初で最後の一般公開(2009年11月26日~2010年1月31日) に滑り込みセーフで行ってきた。
実際の室内や建築空間を使ったアート展は以前、飯田橋のアグネス・ホテルの宿泊ルームを使った“アート@アグネス”展を2回ばかり覗いたことがあったが、今回のように床壁天井に自由に手を入れられたり、さらに終了後の現状復帰も不要というケースはめったにないわけで、それが置かれる空間を含めて創り出されたアートを丸ごと体験するというなかなか得がたい価値ある展示だった。
また、1957年竣工のジョゼフ・ベルモンが設計した旧フランス大使館の空間自体が、いってみれば、長年使い込まれた機能的な道具の姿、とでもいえるような実に味のある佇まいを見せており、工業化という理想が生きていた50年代の、さらに、そうした時代の代表的なデザイナーだったジャン・プルーべに師事したというこの建築家によるモダン・アンティーク的な空間も建築好きにとっては実に見応えのあるものだった。
今回はそうしたモダン・アンティーク空間にアートが絡んだ魅力の一端をご紹介しよう。
別館は、かつては文化部と科学技術部が使っていたスタジオタイプのプライベートな研究部屋が並んでいる棟。
コンクリート打ち放しの廊下の壁。室内は白のマットな塗装壁。ざらっとしたテクスチュアの白い天井。白・黒・グレーなどで塗られたドアとドア枠。無彩色によるグラデーションがストイックで心地良い。
白の壁と黒のサッシュ枠というニュートラルな空間に置かれた赤の色彩。実にインプレッシブ!
全面ピンクに塗り替えられた部屋。西日を受けた窓外の樹木のシルエットが正にアートの1つとして設えられているのが見事。
クローゼットの扉の取っ手。何でもない感じが今や貴重。下がっているワイヤーはラッチが壊れており扉が自然に開いてしまうのを留めるためのモノ!(たぶん)
鉄骨螺旋階段に架けられたアートの数々。空間もアートもなんだかレトロな魅力にあふれている。
白い階段の壁に描かれたポップアート的ポートレートと印象的な人物タブロー。まるでオリジナルでそこにあったように馴染んでいる。
なぜか実にフランスっぽいと感じてしまう別館のスロープ。手摺などないところがいかにもフランス的合理主義という感じで愉快。
to be continued
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