朝起きて、今日は靴を磨こう!と突然思い立ちます。
まず、磨くべくすべての靴を一同に並べ、しばし眺めた後、おもむろにスタートです。
最初にブラシで埃を払い、次にクリーナーで付着した汚れを落とします。アッパーとコバの縫い目の当たりも忘れずに。
続いて、コットンに靴の素材とカラーにあったクリームやワックスを取り、アッパーに塗り広げます。靴の顔とでも言うべくトウの部分は念入りに指先でその立体形状に合わせて塗りこめます。縫い目の部分にもブラシなどを使いクリームを行き渡らせるようにします。
しばし、放置した後に一気に磨き上げます。コードバンの靴やワックスを使ってピカピカに磨きたい靴の場合は、数滴の水を垂らしてワックスを広げるように磨いていきます。コバの部分の傷やソールとのエッジの部分の摩擦などで傷んでいるところも、ダーク系のクリームをよく塗って修復します。
スエードの靴は、アッパーの埃を豚毛のブラシで払うのが基本ですが、しつこい汚れなどがある場合は極細の金ブラシを使って起毛させながら汚れを除去します。
汚れ具合に応じて、レース(靴ひも)を外して皮の重なっている部分の手入れをするとか、レザーソープを使って雨染みを溶かすとか、もう一手間が必要な場合もあります。
以上はこれでも簡略している磨き方ですが、すべてを磨きを終えるのには軽く半日は要してしまいます。これに、様々な素材と色のスニーカー、ワークブーツやウエスタンブーツ、雨雪用のハンティングブーツなどを加えると、すべて磨き終えるのは一日ががりと言っても大げさではありません。
さあ、ようやく完成です。もともとの履きこまれて年期が入った雰囲気に、丁寧に磨きこまれた結果蘇った生気と輝きが加わって、いずれの靴も少し誇らしげに佇んでいるように思えます。
こうして、履き込まれて磨きこまれていく靴たちは、少しづつ少しづつ自分だけのオリジナルな宝となっていきます。
なにごともお手軽安価な新製品が尊ばれる今日、靴は、時間という人間だけが理解できる価値を具現化している数少ないモノの1つなのであります。
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