失われつつある東京の坂と路地を訪ね歩く「東京坂路地散人」シリーズ。
vol.13で夕暮れの奥戸橋を眺めた後は立石の名酒場を巡る飲み歩きツアーのスタートです。メンバーはvol.12同様、Y氏、U氏の面々。題して「第2回飲み歩きパラダイスツアー」の巻。
「立石」駅前でひと際目立つのが手作りの揚げ物を求める行列が絶えない「愛知屋」。メンチやハムカツやコロッケなどが次から次へと揚げられていきます。こういう肉屋の揚げ物、弱いんだよネーと、思わず揚げたてをたくさん仕入れてしまいました。
駅南側に広がるアーケード街「立石仲見世」。惣菜屋や飲食店を初めとして各種食品・衣料・雑貨などのお店が今や懐かしい屋根付アーケードの両脇にぎっしり並んでいます。
ここ「立石仲見世」はお惣菜屋さんなどに混じってその場で飲み食いできる飲食店が点在しているも楽しい雰囲気の一因です。
歩いているだけでワクワクしてくるこの感じ。市場の食堂街などにみられる人と食の高い密度と臨場感が醸し出すこの高揚感は世界共通です。
メンバーが揃ったところで仲見世のもつ焼「宇ち多」を覗いてみますが、案の定すぐには席が空きそうもないので、京成線を渡りこれまたもつ焼の名店「江戸っ子」に無事席を確保してスタートです。
もつやきと書かれた立派なのれん、路地に面したサッシュ越しにずらっとならぶカウンター席、なんともいい雰囲気です。
新鮮厚切りのレバ刺し、ヴォリュームのたっぷりの正当派の煮込み、コリコリの食感のナンコツ、脂の固まりに一瞬たじろぎながらも豚の脂の旨さに悶絶するアブラなどモツの世界を堪能しました。
この雰囲気とこの旨さとこのヴォリュームとこの値段、隅田川以東の酒場ならではの幸せ感が全身を満たしてくれます。
「江戸っ子」に抜ける路地の入り口に掲げられた「呑んべ横丁」の看板。なにやら路地マニアにとっては胸騒ぎのする雰囲気。
案の定、この看板の先にはいくつもの飲み屋が集積する迷路のような屋根付路地空間が広がっていました。
妖しげな雰囲気を求めてラビリンスを彷徨うY氏とU氏。
この紫の看板など、まるで大竹伸朗の手になるアートのようなオーラを放っているではありませんか。
2軒目は仲見世に戻り、立喰い寿司の「栄寿司」に滑り込みセーフで入店。
「エビス」の小瓶で喉を潤して、生シラス、シャコ、中トロ、赤身などを注文。分厚い赤身が絶品でした。飲み歩きの途中にこんな気の置けないすし屋での一息、なんとも幸せ気分です。
「栄寿司」のカウンターで満足そうなY氏とU氏。
次なる3軒目は線路沿いの立飲み屋「串揚100円ショップ」で関西風の串揚げを一、ニ品。
いよいよテンションが上がり始めたY氏とU氏。
こうやって旨い酒と肴を巡る立ち飲みでの飲み歩き。どこかでもやったナーと思い出したのがスペインはバスク地方のサン・セバスチャンでのバルのはしご酒。ピンチョスと呼ばれる串に刺したおつまみを肴に立ったまま飲るスタイルやひとところに長居せずにさっと切り上げて次の店へと繰り出すところなど、驚くほど似ていると今更にして思い至りました。サン・セバスチャンの旧市街のフェルミンカルベトン通りあたりにもここ立石と同様、個性あふれる立ち飲みバルが集積しておりました。まあ、呑んべいの行動はセカイジュウミナオナジという訳ですかナ。
さて、再び仲見世に迷い込み「二毛作」を目指すが満席なので一軒置いた隣の「鳥勝」でビターなホッピーでちょいと一休み。なぜかお店の上の看板は「らーめんラッキー軒」(以前のお店?)のままとなっているゆるい感じがまたいい。
5軒目はようやっと席が空いた「二毛作」でおでんに日本酒で乾杯。
お勧めでいただいた「天穏」という日本酒の冷酒がさんざんアルコールに浸った舌と脳に心地良い。あっさりとしたおでんも連戦の胃に優しい感じでこれまた良し。豊富な日本酒や焼酎を始めカクテルなども揃ったちよっとモダンな雰囲気の飲み屋さんです。
立石仲見世に佇む日本酒で復活してパワー全開(後が怖いヨー)のY氏とU氏。
本日の〆にとU氏お薦めのラーメン屋を目指すがなぜか本日は店じまい。これでは収まらない3人組、次の展開を思案するなかで恐ろしいことに「ここまできたら四つ木の「えびす」まで行って飲み直そう!」ということになりタクシーを飛ばし「四つ木まいろーど」へ。
所狭しとならぶ「えびす」の品書きの数々。さすがに6軒目はカメラを持つ手も傾いています。今度はちゃんと来ます!
さすがにこれにて今宵も終了かと、かなりの千鳥足を「四つ木」駅に向けるが、しかし、そこにはなんと駅前に停車する移動餃子屋の存在が・・・・・。
おーッ!旨そうだ、と思わず焼餃子3人前のオーダーを入れ、いつの間にか駅高架下のコンビニで仕入れてきた缶ビールでプッハーの乾杯!偶然にしては恐ろしくも前回の「第1回酎ハイ酒場はしご酒ツアー」に続いて今回も餃子でビールの〆とあいなった次第。
通算7軒を転戦した今回の「第2回飲み歩きパラダイスツアー」もようやく「四つ木」駅から京成線で帰途に就いて無事終了。
次の日はどうかって?もちろん人生最高にして最大の二日酔いによる廃人状態が24時間続いたというわけサ。
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