そろそろ山菜の季節。山菜というと思わずため息が出るような開高健の比喩が忘れられません。
「山の不屈の純潔が口いっぱいにほとばしる。そして峻烈の気迫をひそめたホロにがさがひろがっていく。あらゆる味のなかでもっともひめやかだがもっとも気品高いホロにがさがひろがっていく。舌が洗われる。ひきしめられる。小さいが鋭い弦楽器が凛と正面を直視して音楽を奏で、いきいきと二つ、三つ飛躍し、批評の言葉を考えるひまもあたえずにふいに消える。高貴なつつましやかさがその苦みにこめられているようである」(『新しい天体』)。
というわけで今回は爽やかな苦味が初春を告げるふきのとうをフリットで。周囲の葉っぱを広げる。小麦粉をビールで溶いた衣をつけてオリーブオイルで上げる。丸いつぼみの方を下にして入れ途中でひっくり返す。シンプルにレモンを絞って塩でどうぞ。
Bon appetit !
Plat du Jour vol.321
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