なにごとも一見、簡単なものの方が実は奥が深いといわれますが、ぶどうからワインができるプロセスも「糖+酵母⇒エチルアルコール+炭酸ガス」と実に簡単なものであるがゆえの深遠な世界が広がっています。そのシンプルさと深遠さを実体験してみようということで、市販の食用ぶどうを使って手づくりワインを試作してみました。はたして飲める代物になるのか。結果はというと、何の技もなしに徒手空拳で作った割には、一応ワインとして飲める代物になっている点にまず感動します。無添加&出来立てならではのフレッシュさも手伝って意外といけます。ただし、色が薄い、香りが希薄、奥行きがない、というところがイマイチな点です。ぶどうを吟味して来年、再チャレンジする価値は大いにあり、という実験結果でした。自家消費といえども、アルコール度数が1%以上だと酒税法に触れますのでくれぐれもご注意を。
ぶどうが出回る9月中旬~10月初旬ぐらいに無農薬の黒ぶどう(4~5房)を購入。皮に付着している酵母が失われないように出来れば水で洗わない。ホーローなどの容器を用意して、軸から果実を離して手で丹念に潰す。皮と種もそのまま。空気に触れずにかつ炭酸ガスが逃げるように表面にラップを軽く密着させて30℃ぐらいの室温(10月に入って気温が下がったらフリースでくるむなどで温度を調節する)のところに置いて醗酵させる。
潰した状態のぶどうはこんな感じ。
下は醗酵が始まって炭酸ガスが発生している状態。日に1~2回、表面に浮いている皮を沈ませるように全体をかき混ぜる。これを櫂入れ(ピジャージュ)というそうです。
10日~2週間程度で炭酸ガスが出なくなり、一次醗酵が終わる。香りがぶどうの甘さから、ワインのアルコールっぽい香りに変化している。
ざるにガーゼなどを敷きボウルに液体を漉す。自然に落ちた液体はヴァン・ド・グット(フリーラン)と呼ばれるもの。別のボウルを用意してガーゼに残った果実と皮をしっかりと絞る。これがヴァン・ドゥ・プレスと呼ばれる。じょうごを使ってそれぞれを瓶やペットボトルに注ぐ。
なるべく空気を抜いて18℃から20℃くらいの室温のとことに2週間ばかり置いて2次醗酵(マロ・ラクティック醗酵)させる。このマロ・ラクティック醗酵によってリンゴ酸が乳酸の変わり、ワインらしいまろやかな味わいになり、色も紫が強くなっていく。
ヴァン・ド・グットとヴァン・ド・プレスを混ぜ合わせて(アッサンブラージュ)ワインの完成です。
Bon appetit !
Plat du Jour vol.500
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